info 米国政府は大統領令 “Modernizing Payments To and From America’s Bank Account”（Executive Order 14247）を発令し、連邦政府の支払いを完全電子化する方針を示しました。これにより 2025年9月30日以降、IRS（米国国税庁）は税金還付の紙小切手を廃止し、電子送金（EFT＝Electronic Funds Transfer）に一本化 される予定です。
🔍 影響を受ける主な還付
| 対象書類 | 影響内容 |
|---|---|
| Form 1040NR（非居住者個人 日本人投資家） | 紙小切手還付 ⇒ 米国内銀行口座への電子送金のみ |
| Form 1120‑F（外国法人 日本法人投資家） | 紙小切手還付 ⇒ 米国内銀行口座への電子送金のみ |
特に、米国不動産の売却時には、FIRPTA（外国人不動産投資税法）により源泉徴収が行われ、後日税金還付申告を行うことが一般的です。この際に行われる申告（Form 8288-Aや1040NR等）が本変更の対象となるため、影響は非常に大きいといえます。
▶ 大統領令の原文と日本語訳（抜粋）
Section 3. Phase Out of Paper Check Disbursements and Receipts
(a) Effective September 30, 2025, and to the extent permitted by law, the Secretary of the Treasury shall cease issuing paper checks for all Federal disbursements inclusive of intragovernmental payments, benefits payments, vendor payments, and tax refunds, except as specified in section 4 of this order.
(b) All executive departments and agencies (agencies) shall comply with this directive by transitioning to EFT methods, including direct deposit, prepaid card accounts, and other digital payment options, and take all steps necessary to enroll recipients in EFT payments, except as specified in section 4 of this order.＜日本語訳（抄訳）＞
第3節 紙小切手による支払い・受領の廃止
（a）2025年9月30日以降、法律が許容する範囲で、財務長官は本大統領令第4節で定める場合を除き、政府間支払、給付金、ベンダー支払、税還付などすべての連邦政府支払について紙小切手の発行を停止する。
（b）すべての省庁は、本大統領令第4節で定める場合を除き、ダイレクトデポジット、プリペイドカード口座、その他デジタル決済手段を含む電子資金移動（EFT）方式へ移行し、受取人をEFTに登録するために必要な措置を講じなければならない。
原文全文はこちら：https://www.govinfo.gov/content/pkg/DCPD-202500396/html/DCPD-202500396.htm
💬 やるべきこと
これまでの実務では、IRSから発行された紙の小切手を受け取り、日本や米国の金融機関、あるいは弁護士等を通じて換金することが可能でした。しかし今後は、事前に米国内の預金口座を開設することが事実上必須になる可能性があります。
米国で銀行口座を開設するには、各銀行のポリシーを確認する必要があります。たとえば、
- 日本居住の個人や法人でも開設できるのか？
- 「還付金の受け取り」だけを目的とした口座でも認められるのか？
といった条件を満たさなければ、口座開設そのものが困難となるケースも考えられます。そのため、不動産購入や賃貸開始のタイミングで、将来の還付を見据えて早期に口座を開設し、長期的な付き合いができる銀行を選ぶという視点が重要になってくるでしょう。
また、実務上は「初年度の確定申告」で還付口座の設定ができないなどの制約もこれまで存在しており、今後IRSのシステムがどのように対応していくのかは依然として不透明です。2025年9月末以降の実務対応には不確定要素が残りますが、還付金を確実かつスムーズに受け取るための仕組みづくりが今まで以上に重要となることは間違いありません。
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